はじめに
少し前ですが、2024年9月にジギョケイ Business Survival WORKSHOP に参加してきました。
このセミナーは、中小機構が認定を受けた事業継続力強化計画の実効性を高め、中小企業の事業継続力を真に強化することを目的として、東京に始まり、名古屋・仙台・札幌・金沢・広島・大阪・高松・福岡・那覇まで、全国で全10回にわたり開催されました。
大災害時には生死すら危うい中、生活も今まで通り送れないこともあります。そのような状況では、事業が継続することが難しい場合もあるわけですが、経営的な観点から見ると、事業が停止した時間が長くなると廃業せざるを得なくなります。事業停止期間をいかに短くすることができるかがとても大事です。短期間で事業を復旧するために「事業継続力強化計画」(ジギョケイ)が役に立ちます。
勤務先で令和元年(2019年)に認定を受けたのですが、私が個人的に作っただけで経営陣も興味はなく、現場の社員にも全く浸透しないまま5年がたってしまいました。このままではよくないのは分かっているのですが、取組めていない現状です。
また、支援者という立場でも他社の認定のお手伝いをしたり、セミナーで事業継続力強化計画についてお話ししたり、少ないながらも支援してきました。勤務先のことも、支援者としても、中小企業の事業継続をもっと支援したいという想いで、今回ヒントを得られるのではないかと思い、参加しました。
カードゲームを使った机上訓練
いままで、事業継続にかぎらず、セミナーは受け身のものが大半ですが、今回はカードゲームを使った興味深い取り組みでした。
カードは、「チュートリアルカード」という災害の種類が書かれたカードと地震発生時に使う「地震カード」、水害時に使う「水害カード」、地震でも水害でも電気ガス水道などのインフラがどの程度被害を受けているかが記載された「インフラカード」の4種類があります。
それぞれ、壊滅的な被害を受けるケースや比較的軽い被害のケースが混在しており、引いたカードに応じて、現在の対応状態がどの程度カバーできるか、カバーできないことについてどのように対応すべきかについて、グループ内で付箋に書き出して意見交換する、というグループワークを行いました。私が参加した時は、4~5人くらいの6グループに分かれて、行いました。
グループ内で議論した後に、2つほどのグループからそれぞれ引いたカードと議論した内容について発表しました。私のグループは私を含め4人で、皆さんそれぞれの企業でジギョケイの策定に取り組まれたチームリーダーやメンバーをされていた方ばかりで、議論や発表をお聞きしていても、意識の高い方々が参加されているんだなと分かる内容でした。
講演「ジギョケイの見直しと訓練」
第2部は事業継続力強化計画の詳細制度設計にも加わったメンバーのお一人である、SONPOリスクマネジメント(株)の高橋孝一氏からの講演でした。
グループワークを踏まえて、自社での取り組みを見直すようなワークも多めに取り入れたセミナーでした。
何のために事業継続力強化に取り組むのか、その目的をしっかり確認する必要があり、
①何よりも人命最優先。社員とその家族の安全と生活を守ること、
②早期復旧を図り、お客様への影響を極小化すること、
とのお話が特に印象深かったです。
また、過去の災害時に、スーパーでレジが動かないときの話や、製パン業界では何枚切りで製造するか1つに決めているとか、給与計算ができないときの給与支払い方法など、興味深いお話もお聞きすることができました。
(注)後日調べたのですが、製パン業界の話は少なくともネット上では確認が取れませんでした。
まとめ
分かっているつもりでいても、カードゲームに取り組んだり、お話をお聞きして、事業継続について、事前に考えておくことの必要性をあらためて再認識しました。
終了後に運営の中小機構の方にお話を伺ったところ、今後このカードゲームは一般に広く公開する予定なので、そうなったらぜひ支援の場でもご利用いただきたいとのことでした。この記事を書いている2024年12月末の時点ではまだ公開されていないようですが、販売してくれればぜひ今回のようなセミナーを多くの支援者が取り組みやすくなり、もっと事業者が受けやすくなると思いますし、支援者のに訂正どのようなものがあると、より良いのではないかと思います。
私自身、これからも、事業継続についての支援に取り組んでいきたいと思います。